水をつくる社員ブログ
水処理サロン その17
2013-09-30
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「フェントン処理って、知ってますか?]
T 「もちろん、フェントン博士に何言ってるんですか?」
A 「ちょっと話が出て、高濃度有機排水をフェントン分解しようという計画があるんですが・・・」
T 「以前に、COD-Mnで50→20ppmにする3次処理設備を納入したんですが、結構苦労しました。」
A 「何か問題でも?」
T 「フェントン処理は、硫酸一鉄を触媒にして加水から生じる水酸基ラジカルの連鎖反応で、有機物を切断して、CODを削減します。私3日間、ぶっ続けで現場で、条件を変えてNODをやり続けたんです。」
A 「NODって、なんですか?」
T 「あっ、知らない? 鍋でやるCOD-Mnで、ナベオーディーと呼びます。」
A 「(また、始まったよ) 勝手に言ってるだけでしょ。」
T 「はい。^^」
T 「でも、考えてみて下さい。pHを6条件、加水濃度を6条件、鉄濃度を4条件の組み合わせを3日間でやったんですから・・・分析にも出せないし、自分でするしかないでしょ?」
A 「で、どうだったんですか?」
T 「pHは低い方が、いいようだけど不経済なので3.5位で安定処理できてましたね。加水純分濃度が、原水COD-Mnの2~3倍、一鉄純分濃度が4~5倍で、除去率80%でした。」
A「ふーん、そんなに除去率高いんですか・・・」
T 「そうなんですよね、きっと対象液が溶剤系の生物処理水で、フェントン分解に適してたんでしょう。」
A 「そんなに分解率高いのに何故一般的に行われないんですか?」
T 「まず、不経済なので大きな排水量には向かないですね。」
A 「それから・・・」
T 「こちらの方が問題ですが、原水有機物の組成、濃度に対してのコントロールが困難な点です。水酸基ラジカルの連鎖反応は、環境が整わないと継続しません。過剰に添加しても分解しないという意味です。だから、変動したり原水濃度が高かったりすると話になりません。」
A 「よく、実施しましたね?」
T 「色々な条件が重なりました。 BODが一桁になっても、CODが50~100残る。活性炭には負荷高すぎるし、どうしようと思っていた所に、リン規制の指導が入り後凝沈が必要に、なったので、なら、フェントンも試してみるか・・・と、事前実験での結果は、あまり良くなかったんですが・・・やっぱり、現場でリアルタイムで分析すると、精度や再現性がいいです。今思うとフェントンの場合、簡単な実験では良い結果じゃないのが当たり前だったと思います。」
- 次回へ続かない -
水処理サロン その16
2013-09-30
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「ちょっと、飛びましたけど、呼吸速度の測り方しましょうよ?」
T 「いえ、Rr測定法の話し、します。」
A ((だ・か・ら~))
A 「はい、はい、いきましょう~」
T 「Rr、好気性生物の呼吸の速度=水中の溶存酸素濃度の低下速度を測定します。」
A 「それで、単位はmg-O2/L・hrなんですね。」
T 「はい、それに良好な活性汚泥程、その時間当たりの低下量をグラフにすると直線に乗ります。」
A 「曲線になる時もあるんですね。」
T 「はい、曝気槽の入り口などはRrは高いのが通常ですが、原水槽や流量調整槽が腐敗していると還元物質の影響で、曲線になったりします。」
A 「では、測り方の解説を・・・」
T 「まず、曝気槽混合液をサンプリングして、1Lのシリンダーに分割し、金魚のブロワーで曝気します。」
A 「時間はどのくらいでしょう?。」 T 「まずは、1分程度でいいでしょう。」
T 「で、素早く、なめらかに300cc広口フラスコに流し込みあふれさせます。」
A 「300ccでないとダメなんですか?」
T 「密閉されていれば、300ccでも10Lでも、同じ結果となるので、やりやすい大きさを選んで下さい。」
A 「手が、べとべとになりますよ?」
T 「はい、気にしません。」
T 「そして、DOセンサーでフラスコをカンカンたたいて、微細な気泡を浮かせます。」
A 「え~センサーでたたくんですか?」
T 「はい、手がふさがってますから。」
T 「そして、静かにDOセンサーを差し込みます。この時ももちろん、混合液はあふれます。少しでも、フラスコ内の気泡が残ると、DOの下がりが遅くなります。 また、あらかじめセンサーとフラスコの口が密閉できるよう、ゴム栓かテープで調整しておいて下さい。」
A 「そして、スターラにかけて、DOの下がりを記録するわけですね。」
T 「はい、時間当たりのDOの減少記録でも、一定DO当たりの経過時間でもどちらでも同じです。」
A 「あっ、思い出した。カンカンたたくのって、BODの時のフラン瓶を共栓でたたくのと同じですね。」
T 「へ~あなた、何でも知ってますね。環境計量士さんですか?」
A 「え・・・ばれました?」
T 「お見それしました。は、は~」
- 次回へ続かない -
水処理サロン その15
2013-08-23
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
T 「8月は、終戦記念月なので、水処理から離れていいですか?」
A 「え、前回Rrやるって言ってましたよ~、いつも通りの好き放題ですね。」
T 「はい~~戦艦大和と水についてです。」 A 「やっぱり、そっちか・・・・」
T 「まずは、大和の動力源は、何でしょうか?」
A 「そりゃ、ボイラーとタービンでしょ。ディーゼルじゃなく。
T 「お、やるね~。ディーゼル案もあったらしいですが、平賀中将が信頼性で蒸気タービンに、しちゃいました。 次に主砲の46センチ砲の、旋回や不仰角の動力源は何でしょう?」
A 「そりゃ、油圧シリンダーと油圧ポンプ、電動モーターでしょ。」
T 「これは、水処理サロンですよ・・水、水 答えは水圧シリンダーと水圧原動機です。
A 「へ~へ~へ~ 3へ~あげましょう。」
T 「艦の発電機は、8基あり4800kWの発電能力があったのですが、主砲塔内は動力用の225Vと照明用の100Vは使用されず、計器用の50Vと25Vだけが使用されていたようです。」
A 「そうか、今で言う防爆仕様か~。ふーん、その水圧ラインの循環水はどうしてたんでしょうか?」
T 「そうそう、そこです。ボイラーがあるので、軟水器くらいはあるのかな?と思い調べると純水装置というのはあるのですが、これは蒸留装置のようです。まだ、イオン交換はなかったのでしょうか?」
A 「工業用のイオン交換樹脂生産開始の1938年は、昭和13年ですよ。」
T 「大和の起工式は昭和12年なんで、軟水器はなかったんでしょうね。」
A 「水は海水から作っていたんでしょうか?」
T 「だから、そりゃ、現代の原子力潜水艦でしょ。 原動用水タンクだけでも500tonの水を積んでたみたいです。」
A 「じゃあ、蒸留装置も補給水用でしょうね?海水からだと大変だ。どちらにしても、そんな物の設計や建造に携わった人は、すごいですね~」
T 「尊敬しますね。 堀越二郎の次に尊敬しますね。」
A 「え、2番目に尊敬するんですか?」
T 「いや、三菱の堀越二郎、中島の小山悌、川西の菊原静夫、川崎の土井武雄の次かな?」
A 「・・・・な~んか、変な人っぽいんですけど・・・・」
T 「魚雷の愛甲大佐も、捨てがたいな・・・・」
- 次回へは続きません -
水処理サロン その14
2013-08-01
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「流動担体シリーズ長編化してますね。」
T 「はい、ありがとうございます。」
A 「他に書くことなくなったとか?」
T 「・・・ それでは、担体の評価について、少し話しましょう。(無視無視)」
A 「そりゃ、汚泥重量でしょ? 単位容積当たりの保有汚泥重量!」
T 「はい、どうやって計りましょうか?」
A 「担体の乾燥重量から、新品の乾燥重量を引けば、汚泥重量が出るじゃないですか。」
T 「そうですね。MLSSはそれでOKとしましょう。じゃ、MLVSSは?」
A 「乾燥した担体をマックル炉に放り込んで」
T 「はい、放り込んで燃しちゃいました~。」
A 「担体、燃えちゃってます?」
T 「燃えちゃってるでしょうね。」
A 「じゃ、いつもの呼吸速度計りましょうよ。」
T 「そうですね、呼吸速度を測れば性能を数値で直接比較する事が出来ます。例えば、2槽並べて、2種類の担体を比較するよりも、1槽に2種類混合して処理実験してもいいね。」
A 「で、どうするんですか?」
T 「まず、サンプルを採る、で担体を手作業で分ける。」
A 「それ手間ですね~。」
T 「マニアックでしょ。それから、充填容量に混合液でメスアップして、Rrを測定。」
A 「あ~そこから、混合液だけの呼吸速度を引けば、担体だけのRrが出ますね。」
T 「とある担体メーカーにサンプルを送って評価をしてもらった時に、MPN法で菌数カウントして充分の菌体保有が確認されました。と、返事がありました。でも、それって・・・・」
A 「菌ならなんでもいいのかよって感じですね。」
T 「これなら、呼吸速度測る方がまっしでしょ。それに、2槽処理で比較しても、負荷は、環境は、条件は、検証はって、なってくると余計難しくなるからね。」
A 「なるほどね~ よくRr:呼吸速度って出てきますけど、そろそろ測り方を教えてくれませんか?」
T 「いいですね~次回は、それやりましょうか?気が変わらなければ・・・・・。」
A 「はぁ~・・・・・」
- 次回へ続く可能性が高い -
水処理サロン その13
2013-06-20
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「流動担体のシリーズになって、俄然連載感が出てきましたね~。」
T 「うん、文章もこなれて来たって感じか~。」
A 「(相変わらずの自賛癖) ところで流動担体の種類って、どんなのがあるんですか?」
T 「そういえば、流動担体の分類って見た事無いので、独自でやってみましょうかね。」
A 「形状で分けましょう。」
T 「その前に、逆洗工程が無く、常時余剰汚泥が排出されるところが、流動担体の特徴なんだけど半固定式で、揺れながら同じような効果のある接触材もあるんだけど、どうしようか?」
A 「それは、流動かな?担体って感じでもないし、除外しましょう。」
T 「じゃあ、本当に浮遊流動するものに限ってみましょうか。まず、形状では弊社でも採用しているスポンジ状のキューブ型のものですね。最近は、汚泥の付きが良いので流行っているようですが、素材の強度が足りない物が多いようです。ポリオレフィンなんか難分解性なので強いはずですが、水槽内面は防水モルタルじゃなく、塗布防水若しくは高価にFRPライニングが理想です。」A 「担体が高価なのに、そんな仕様じゃ、売れそうにないですね。」
T 「これを、キューブ型としますか。ま、年間消耗率5%以下でないと使えないですね・・・・。」
A 「もっと、強い物はないのですか?」
T 「一世代前のプラスチック系の表面積タイプは強いですね。もともと接触充填材を比重調整して旋回流に乗るようにしたんですが、当初の複雑な形状から、チューブ状に成形した物に、淘汰されているようです。比較的安価ですね。」
A 「汚泥の付きをよくする為に、表面をデコボコにしたり、炭素を練り込んだりしてますね。」
T 「それでもスポンジ型と較べて、汚泥の付きも体積当たりの保有汚泥重量も少ないと思います。これは、チューブ型としますか。
A 「後、最近みなくなりましたが、繊維状の担体ってありましたよね。」
T 「はいはい、今でもあるのかな~? 昔はよく使っていましたがキューブ型の前身的な商品です。高価なわりに、繊維がほぐれたり、抜けたりと言ったトラブルはありましたね。このタイプは、繊維型でいいですね。」
A 「最後に、あれどうですかゲ×型。」
T 「はい、それはその名称で行きましょう~。」
A 「えっ、これは解説無いんですか?」
T 「・・・それ、解説するの・・・それもう、社名言ってるようなもんよ。画期的な担体で、良い商品です。」A 「なんだか???」
- 次回へまたまた続くかも -