水をつくる社員ブログ
水処理サロン その26
2014-07-21
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「最近、困ってること聞いてもいいですか?」
T 「はい、なんでしょか。」
A 「この前、3600φの沈殿槽運んだんですけど、元請けさんともめました。」
T 「あ~、去年、一昨年位から違法運搬うるさくなりましたね。」
A 「何がかわったのでしょうか?」
T 「まず、運送についての法律は、国土交通省の道路法、警察庁の道交法、自動車交通局の
運送車両法があるんですが、道交法の改正があったみたいです。」
A 「違法運送だと、搬入させてくれないとか、あるみたいですよ。」
T 「無茶な話ですね。設計段階で解っていることなのにね。」
A 「現地製缶だと、価格は倍するし、製品自体の精度も悪くなりますもんね。
聞いた話だと、門前払いで持って帰れと言われた業者があるらしいですよ?」
T 「この業界では、重量超過より、寸法超過が多いから違法運送で夜中走ったのを、昼間帰れとは、
とんでもない話ですね。」
A 「でも、どうしてこんな事が起きるんでしょうか?」
T 「昔の、道交法では違法運送の場合、運送会社のみに責任があって、罰則として営業停止や
車両の使用禁止等があったみたいですが、それに合わせて依頼主や元請けも処罰対象に
なったみたいです。」
A 「でも、ゼネコンさんなんか下請けの搬入情報の把握なんて、そこまで監理できませんよね。」
T 「まあ、違法自体がいけないので、遵守すればいいだけですが、ちゃんと準備しないとだめですね。
許可には2ヶ月位かかると思っておかないと・・・今では設計段階での必須確認事項です。」
A 「巾は、3.5m、高さは4.3mMaxくらいですよね。」
T 「はい、低床トレーラーで、車高0.5mがあるので製品は、3.8mHがMaxです。
ただ、運搬経路の管轄警察署に届け出て、許可もらわないとそれだって確かでは
ないですし、いくつも県を横断したりすると、1箇所通れないと運べないです。」
A 「トレーラーの巾って、確か3mしかないですけど、張り出していいんですか?」
T 「車両自体に、張り出し許可車両があるみたいなので、その確認も必要ですね。」
A 「じゃ、最後に・・・設計上、あと100mmどうしても削れない時に、現地製缶にします? それとも
100mm無理に削ります?」
T 「それは、遵法精神を優先でしょう。」 A 「ホントに、本当ですか?」
T 「コ・ン・プ・ラ・イ・ア・ン・ス・デ・ス・カ・ラ。」 A 「・・・・・・・・・なんだか?」
- 次回へ、続かないです。 -
水処理サロン その26
2014-06-20
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
T 「ちょっと、飛んだけど、処理方法シリーズ再開しよう。」
A 「フッ素行きましょう。」
T 「はいは~い。中性凝集沈殿でフッ化カルシウムとして除去します。」
A 「はい終了。 超簡単ですね。」
T 「な、訳ないです。昔は10~15mg/L位の排出基準でしたが、最近は8mg/Lとか上乗せが
厳しくなってきています。」
A 「でも、フッ化アルミで高度処理とかあるんでしょ?」
T 「フッ素の不思議なところは、Ca、Alで凝集した処理水をもう一度同じ処理をすると、処理精度が
上がるんです。 多分、フッ素濃度の低い環境での平衡濃度の差なんでしょうけど。」
A 「それって2段凝沈ですね。でも、反応槽も沈殿槽も2セットいるんですよね?」
T 「後段は反応速度も沈降速度も遅いので、大きくしたいくらいですね。 ただ、どんな方法でも
1段では10~15ppm程度にしかならないのに、2段目には、5ppm位に下がるからね。」
A 「へぇ~しかし、それって汚泥発生量も馬鹿にならないですよね?」
T 「・・鋭い。 確かに2段目の凝沈は5ppmのフッ素除去のための汚泥発生装置ですね。」
A 「で、そこでいつもの奥の手を出しましょうか?」
T 「出しますけど、ここからは特許も絡んでくるので問題ありですが発表します。
まず、第1反応槽に沈殿汚泥を10%程度返送すると、フッ化物の表面での析出の効率が良く
なり発生汚泥量当たりのフッ素除去量が改善されて、汚泥発生率が低下します。」
A 「それって、一般的にみんながやってるフローじゃないんですか? フッ素以外にも効果
ありそうだし・・・? Tさんも、・・・・・や・・・・・で、・・・・・モガモガ」
T 「はい、お静かに~。 それと精度を上げるのにはキレート吸着法もありますが、共存イオンがあると
なかなか、安定しないです。」
A 「モガモガ・・・・・・(死ぬ~)」
T 「キレート処理の場合、再生廃液の濃厚フッ素は、原水に戻せば汚泥への再吸着が可能なので
廃液としての場外処分は、発生しません。 また、2段凝沈の汚泥も、弱酸で洗浄すれば
フッ素だけが解離して、原水に返水できますし、残ったアルミ汚泥は2段凝沈の凝集金属として
再利用が可能です。」
A 「・・・・・・だから、それって特許侵害でやっちゃダメなやつでしょ・・・・ヒィ~モガモガ・・・」
T 「もちろん、神に誓ってやってません。 皆さん、法律は守りましょう。 ではまた。」
今回の記述は、フィクションであり、実存の人物、団体、処理技術とは一切関係がありません。
- 次回へ、続かないです。 -
水処理サロン その24
2014-05-26
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
A 「マル秘の解決法の続きですけど、それって合法なんですか?」
T 「ん・・・うん、もちろん・・・統括の担当官が認めたらもちろん合法でしょ。」
A 「なんか、胡散臭いですね。」
T 「無礼な~。過去に実例があるので、それを紹介しましょう。
まず、既設は河川放流で50m3/dの膜分離活性汚泥法がありましたが、下水がつながりました。
食品排水で原水濃度は、BOD2000、SS300、処理水質はBOD10、SS10以下になります。」
A 「さすが、膜分離ですね。でもそれだと、下水放流への水質ではもったいないですね。」
T 「まぁ、ユーザーとしては、現状ランニング+下水料金なんだから、そうなるはね。」
A 「曝気量落とすとか、汚泥量変えるとかで、コストカットできないんですか?」
T 「膜分離なんで、酸化が不十分だと膜が閉塞します。」
A 「膜分離を辞めて、流動担体に変えると処理水質はどうなりますか?」
T 「汚泥転換率30%、汚泥のBODカウント40%、SS中の有機物50%として、BOD300、SS700位です。」
A 「SSが放流基準違反ですね~。で、どうしたんですか?」
T 「下水道切り替え後、変更届を出して処理量50m3を75m3としました。」 A 「は・・・?」
T 「そして、増量分を25m3処理の流動担体を増設しました。」
A 「設備投資してまで、そんな必要性あるんですか?実際に水量が増えたとか?」
T 「水量そのままですし、多く申請しても料金区分以内なら、下水道使用量に課金されるので
今まで通りの50m3を処理します。膜と担体で25m3づつですけどね。^^」
A 「それ、どこがどうなって、メリットあるんですか?」
T 「まず、合流処理水の水質が、BOD200、SS300程度になります。」
A 「ま、確かに理屈はわかりますが、なんだかおかしくないですか?」
T 「下水道課に変更を届けて相談した上で設置しているので、もちろん合法でしょう。
これにより、汚泥処分費が月20万程度、浮いてくるので減価償却後は、下水道料金も
支払えるのでめでたし、めでたしです。」
A 「私が、施主なら担体処理に50m3流しちゃいますけどね?」
T 「鬼か、悪魔の所業ですね~。それ意図的なんで、立ち入りで発覚すると、過去の下水料金まで
追徴されますよ。」
A 「ぐへぐへぐへ。」
- 次回へ続かない -
水処理サロン その23
2014-04-27
T : プラント設計担当 53才
A : 装置設計担当 43才
T 「最近、下水道への切り替え案件が続いたんで、ちょっと話していいかな?」
A 「はい、どうしました。」
T 「下水道事業は、地方自治行政なので料金体系や排水基準は場所によって違うのよ。」
A 「BOD600、SS600じゃないんですか?」
T 「国の下水道法ではそうなんだけど、各地区により終末処理場の能力や地場特性が違うので
それぞれ違うのよ。 内海法とかの上乗せもあるしね。」
A 「あ、BOD×1.2+SS<600 なんて見たことありますよ。」
T 「そう、神戸市なんかもっと複雑だし、式にn-Hexの項も入ってるし、水質料金も9段階に
別れてるのよ。」
A 「何か問題でも?」
T 「下水道が延びてきて、公共桝が受け入れ体制になると3年以内に接続放流しないといけない義務
なんだけど、下水道の放流基準も結構きつくなってきて、600なんて少ないのね。」
A 「じゃ、下水放流を開始したのに、排水処理のランニングはそのままで、下水料金まで
かかってくると・・・・」
T 「中小企業では、実際死活問題になるよね。」
A 「ん~、問題ですね?」
T 「それをもう一歩、突っ込むとね、問題がもう一つあって、既設が河川放流で生物処理していた
とします。下水放流に切り替えました。BOD原水濃度2000を30ppmにして放流していました。
下水道局は、そのまま排水処理を運転して下さい、と言います。 どうしますか?」
A 「?・・・処理がきれいになりすぎているから、下水の排水水質に適合するように原水と
処理水混ぜればいいんじゃないですか?ランニング減らす為に・・」
T 「それ、違法だって。」
A 「じゃ、全量処理するけど、余剰汚泥を下水の排水水質に適合するように混ぜて放流・・・」
T 「それも、違法だって。 それに生物処理の場合、全量処理した上で、水質をコントロールするのは
難しいのよ。ただし、流動担体処理のみ人為的でなく、連続的に余剰汚泥が剥離排出するので
その処理水が基準に適合していれば、OKなんだって?」
A 「???どこが、違うんですか?」
T 「意図的か、そうでないかだよね。 で、ユーザーは設備投資を覚悟で生物処理から加圧浮上に
処理の方法を替えようとするが・・・・BOD2000を凝集処理しても1000位にしかならない。」
A 「ぐぐぐ・・・八方ふさがりですね。」
T 「そこで、ここだけの話、マル秘の解決法を教えようか・・・?」 - 次回必見、乞うご期待 -
水処理サロン その22
2014-03-28
T : プラント設計担当 53才
S : 営業担当 37才
T 「シアンに話題それたんで、窒素に戻しましょう。」
S 「はい、よろしくお願いします。」
T 「まず、脱窒というのは硝酸性窒素から酸素を除くことで、窒素をガス化し大気発散することを、
言います。」
S 「硝酸の廃液からは直接脱窒処理が可能なんですか?」
T 「はい、可能です。 基本的に生物処理では硝化工程に較べて脱窒工程の方が簡単です。
これは、持論ですが脱窒作用は好気性菌(通性嫌気性菌)なら、ほとんどの菌が硝酸呼吸を
する脱窒菌だと思っています。
ただ効率よく脱窒出来るものを、脱窒菌と総称で呼ぶのには反対はしませんが・・・」
S 「そうですね、硝化菌はよく聞くけど、脱窒菌ってあまり聞きませんもんね?」
T 「亜硝酸菌ニトロソモナス、硝酸菌ニトロバクターが有名すぎるのもあるけど、それ以上に
炭素源を無機炭素から得る独立栄養型細菌って言うところが、そそりますよね?」
S 「えっ、そそる? そそるってどういう意味ですか?」
T 「・・・独創的で、数が少なく、生育が遅いって言うことです。」
S 「・・・・・・・・・・・ふーん?(なんだか??)」
T 「だから、アンモニアや有機性窒素を含む多くの排水の処理においても、有機性の負荷が低く
空気量と滞留時間が充分にあって、有機物の分解が極限に進めば自然に硝化は進みます。」
S 「それを見分ける方法ってあるんですか?」
T 「まず、酸化が進むと言うことでは、処理水がきれいでないと硝化まで進みません。
その後、亜硝酸から硝酸へと酸化が進み、pHが下がります。亜硝酸や硝酸はGR試薬で、
ピンクの呈色を見ます。 また、硝酸化の進んだ混合液をシリンダーに取って観察すると
2~30分でN2ガスが観察できます。」
S 「へぇ~、沈殿分離だと汚泥が浮上してしまうんじゃないですか?」
T 「ま、その時は曝気槽に余裕があるんだから、沈殿槽へ移流する再後段の曝気を間欠にして、
先に脱気してから、沈殿槽に流すのがいいでしょう。」
S 「あ・・・返送汚泥の表面でミジンコが跳ねてるように見えるのを見たことがあるんですが?」
T 「それ、それ。それ間違いなく窒素ガスです。
沈殿槽の中はもちろん嫌気状態ですから、硫化ガスの可能性もありますが、H2Sは気泡が
大きいし、なにより、臭いですからね。^^ 」
S 「今度、注意して見ておきます。 今回、普通の終わり方ですね。^^」
- 次回へ続くかも -